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【チェコ】プラハのアラブ

更新日:2020年9月21日


近年耳にすることの多くなった難民・移民問題。今に始まったことではないですが、中東に関連した生活を送っていると、よりいっそう身近な問題として感じざるを得ません。

ヨーロッパに押し寄せるシリア難民など、ニュースでも盛んに取り上げられているのですが、多くはドイツやオーストリアなどを目差し、逆に一言でヨーロッパと言っても全くと言っていいほど移民を受け入れていない国もあります。

その一つがチェコ。

首都プラハを歩いても、例えばロンドンやパリ、ベルリンなどで普通に見かけるアラブ人やアラブ人街も見かけません。手軽なファストフードとして定着しているシャワルマ(ドネルケバブ)のお店もチェコはさほど多くなく、名前もギリシャ風に「ギロ」と呼んでいることが多かったのも、そういった影響でしょうか。

そんなチェコで超少数派のアラブ人ですが、一体どのような生活をしているのでしょう。プラハでアラブを探してみました。

(必ずしもアラブ人=イスラム教徒というわけでもなく、アラブ人以外にもイスラム教徒はいますが、その辺の表現の曖昧さはご容赦ください)

まず訪れたのは、中心地から地下鉄で30分ほどの、プラハ郊外にあるモスク。

駅から10分ぐらい幹線道路沿いに歩いた住宅地にあります。

が…シーン。誰もいません。敷地は開いていて自由に入れるのですが、もう一度言います。誰もいません。

こんな時、エジプトなら肩をちょんちょん、「アーイザ・ハーガ?(何かご用で?)」「ワットドゥーユーウォント?」などと声をかけてくるおじさんがいるのですが。

15分ぐらいウロウロしていましたが、その間にモスクの前の道を通ったのは、犬の散歩のおばさん一人。人口1000万人を超え、人であふれかえっているカイロと、120万人程度のプラハ。しかも寒すぎて道端でお茶をのんでいる場合ではないですからね。仕方ないです。

掲示板には、チェコ語のコーランの販売や、ハッジツアーのお知らせが。

女性用礼拝室は鍵がかかっていました。建物向かって右の階段を上がった場所は鍵がかかっていませんでしたが、入るのは遠慮しました。どうやらそこが礼拝室のようです。

チェコでは、いわゆるテロ事件は発生していないのですが、それでも一応警戒していて、管理人ぐらいは常駐しているとばかり思っていたので、特に警備などをしている様子がないのは意外でした。反イスラムを公約に掲げる極右の政党が票を集めるなど、移民排斥の声も高まるこのご時世。私のような明らかな不審者がウロウロしているのですが。

このモスクのある場所は、団地や一軒家が並ぶ、ザ・郊外。中心地の、いわゆるプラハのかわいく、美しい町並みとはまた違うプラハ。あ~、でも、この曇り空と、郊外感、たまらん。

駅前のアパート。家賃はいくらぐらいだろう。

中心地に戻り、一軒のアラブ食材店に入ってみました。

中央駅近くの「Emessa」というお店。

シリア人とレバノン人の混血のアブー・ハルドゥーンさんが経営しておられます。

プラハに来て、もう15年になるのだそう。

チェコは周辺のヨーロッパ諸国と違い、移民を受け入れず、特に中東からの難民はほとんどいない、だからテロなどが起こらず安全なんだ、とおしゃっていました。

どういった経緯でチェコに来られたのかは聞きそびれましたが、ご自身もおそらくは移民であり、そして今、「同胞」の危機なわけです。でも、私にはこの感情は非常に正直で、共感できるものでした(移住せざるを得ない状況になったことがないので、こういう安易な共感は失礼なのですが…)。

彼に限らず、世界各国に住むアラブ人の移民からも、同様の話を聞いたこともあります。

「正直なところ、(難民・移民の)アラブ人で素行が悪い人は多い。自分はそういう人らとは関わらないようにしているし、同じようにみられるのは迷惑だ。」

今までまじめに暮らし、築いてきた生活が、どっと押し寄せる難民や、実際はどうであれ、とにかく悪いイメージによって崩されてしまうのではないかという、モヤモヤした感情。

もちろん、移民・難民の全てが犯罪を犯すわけではなく、ほとんどはまじめな人、というのは大前提です。

きれい事では済まされないこの問題。全員が納得できる方法はあるはずがない、難しい問題です。

お話しながら、これよかったら、と。デーツです。

プラハにはアラブ・中東料理のお店はそこそこあるけど、お菓子専門店はないとのこと。こちらのお店では、月に1回程度、ダマスカスから輸入しているんだとか。

別店舗ではレバノンワインもと扱っているそうです。

ちなみに、このお店がある中央駅周辺には、トルコレストランやシャワルマショップが数軒あり、モスクもあります。こちらのモスクも訪れたときには、残念ながら無人でした。

プラハ北西、6区にある「Galaxy Food」は、ハラール肉コーナーも併設されたスーパーです。

ディスプレーはトルココーヒーセット。赤い模様のおちょこは、レバノンでよく見かけるコーヒー茶碗です。

移民がほとんどいない、と言いましたが、ベトナム人は多いです。そしてベトナム料理屋さんが多いので、手軽にフォーが食べられますよ。冬の寒ーいプラハで熱々のフォーはなかなかいいものです。


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