もうすっかりおなじみ「ホンモス」は、アラブ・中東料理の中でも最も有名な料理の一つです。
茹でたひよこ豆と白ごまペースト「タヒーナ(タヒーネ、タヒニとも)」のピューレで、最近は「フムス」として日本でも人気のようですね。
アラブ・中東料理と言いましたが、主にシリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナ辺りで食べられており、エジプトではほとんど見かけません。高級レストランに行けばありますが、日常的には食べられていないと言ってもよいでしょう。
エジプトでホンモスと言えば、「ホンモス・シャーム(ハラベッサ)」です。
ホンモスとは、アラビア語でひよこ豆のこと。この料理は正式には「ホンモス・ビ・タヒーナ」と呼ばれますが、日常的には単にホンモスと呼ばれています。
実はこの他に「ムサッバハ」という名前があります。
こちらは厳密に言えばピューレのホンモスと、まるのままの茹でひよこ豆を混ぜたもののようです。しかし、私が暮らしたダマスカスでは、“普通の”ホンモスのことをムサッバハと呼んでいました。
シリアでは、ムサッバハは街のホンモスやファッテなどを出す専門店でも気軽に買うことができます。ビニール袋にぺろっと入れてもらい、袋が破れて中身が飛び出さないように慎重に家まで持って帰っていた頃が懐かしい。
ホンモスとムサッバハに違いはないと言いましたが、個人的にはレストランではホンモス、専門店や安食堂などではムサッバハという印象です。
ホンモスと聞くと、ダマスカスの旧市街の古いアラブ式住宅を改装した素敵なレストラン、一方ムサッバハは、道路脇の間口の狭い食堂で、入り口では茹でたひよこ豆やらを売っている風景が思い浮かびます。
フムスは、うーん、“外国”で見かけるちょっと固めだったり、つぶつぶが残っているホンモスという感じです。あくまで個人的な印象ですが。
ちなみに「ムサッバハ」と同じ綴りで、イスラム教徒が持つ数珠「マスバハ」があります。ムサッバハって、マスバハの玉が(ピューレの)ホンモスに入っているイメージ?と数人のシリア人に聞いたところ、さぁ、関係ないじゃない(失笑)、とのことでした。
ムサッバハは「泳ぐ」「浮く」というような意味のアラビア語の動詞「サバハ」から派生した言葉のようです。
ひよこ豆が潰されたひよこ豆に浮かんでいるようなイメージでしょうか。
そうそう、ホンモスはふわっとクリーミーで、白っぽいのがおいしいのです。当然つぶつぶを残したものはありません。
もちろん好みに合わせてアレンジできますが、より本場っぽさを出すなら、この辺りがポイントです。
材料 ひよこ豆 100g
タヒーナ 100cc
ニンニク 1 かけ
レモン汁 大さじ 2
塩 2.5g 飾り用
オリーブオイル
パプリカパウダー
ドライミント
パセリ
作り方 ① ひよこ豆は軽く洗い、一晩水に浸ける。 ② 鍋につけ汁ごとひよこ豆を入れ、火にかける。途中アクを取り、柔らかくなるまで茹でる。ざるにあけ、ゆで汁を切る。ゆで汁は捨てない。
③ フードプロセッサーにひよこ豆、ニンニク、レモン汁、塩を入れ、ひよこ豆がなめらかになるまで回す。タヒ ーナを加え、更に撹拌する。ゆで汁を少しずつ加え、なめらかなクリーム状になるように調整する。
④ 皿に盛り付け、オリーブオイルをまわしかける。好みでパプリカパウダー、ドライミント、ザクロシロップなどを飾る。
ひよこ豆を茹でる時に、重曹を小さじ 8 分の1程度加えると、早く柔らかくゆであがります。入れすぎると 苦くなるので注意してください。
ひよこ豆は茹でたての熱い状態ではなく、冷ましてから使うとクリーミーで色が明るいホンモスが出来上がります。
タヒーナを加えたら、白っぽくなるまでフードプロセッサーをまわし続けるのがポイント。
タヒーナを加えた後に氷を2個ぐらい入れるとより良い出来栄えになります。
(フードプロセッサーによっては氷は使えないので、注意してください)
より軽く仕上げたい場合はヨーグルトを加えてもよいです。
タヒーナを使う料理にヨーグルトを混ぜるのは最近の傾向のようです。
盛り付け方は、皿にホンモスを入れ、スプーンの背を縁に当てて固定し、皿をまわします。
素敵なレストランで見かける、あの4本線も簡単にできますよ!
水で湿らせたフォークにパプリカパウダーを付け、盛り付けたホンモスにちょんと押し当てるだけ。
たっぷりのオリーブオイルをかけて、召し上がれ!