人口2000万人にも達する大都会カイロ。ここ数十年で爆発的な人口増加の影響からか、新しい住宅地が郊外へと広がっています。
住宅地というよりはかなり規模が大きく、もはやひとつの街と言ってもよいほど。
代表的なのはカイロ西部の10月6日市、東部のニューカイロでしょうか。
開発が始まって10月6日市は約40年、ニューカイロは約20年、現在進行形で開発が進んでいるのであります。
シリアの内戦が始まって、多くのシリア人がエジプトに移り住んできました。
そんな彼らにとって、“新しい街”というのは生活を始めるにはうってつけの場所なのかもしれません。
私は2012年にエジプトに来たので、内戦が始まる前の様子と比較はできませんが、それでもシリア料理レストランが日に日に増えて(そしていつの間にかなくなるところもあって)、シリア料理がエジプトに浸透していく様子が手に取るように感じました。
シリア人街、と聞いてまず思い浮かぶのが10月6日市です。
ここはかなり早い段階からシリア人のお店やカフェ、レストランが並び始めたそうです。10月6日市に住むエジプト人の友人は、引っ越してきた頃は何もなくてつまらなかったけど、今はシリア人のお店がものすごく増えた、とけっこう喜んでいました。シリア料理はおいしいのです。
あの超有名店「ロストー」の本店も10月6日市にありますよ。
ニューカイロのリハーブやタガンマア・ハーミスもシリア人が多い地域です。
こちらは比較的裕福な層が住んでいるというイメージ。
お店やレストランがある場所は限られていますが、シリアの食材を売る店や、レストランなどが密集しています。
エジプト在住歴20年のシリア人の友人にリハーブでおすすめのレストランを尋ねると迷いなくここ!「イブン・シャーム」と教えてくれました。
お肉屋も兼ねたレストランです。
グリルやシャワルマ、ローストチキンやブロステッド(フライドチキン)などが中心です。
まずは「スフィーハ」を。
スフィーハは薄い生地にひき肉をのせて焼いたもの。
肉とたっぷりのトマトを一緒に刻んであるので、見た目よりも軽くてぺろりと食べられます。
トルコだとラフマジュン、レバノンだとラハム・ビ・アジーンかな。
生地をクルクル巻いて、むしゃむしゃ。もう一枚食べたいけど、次が来るし、がまんがまん。
シリアのフライドチキン「ブロステッド」は鶏1羽か半羽でオーダー。
ざっくりの衣をかじると、ボファッと肉汁があふれます。
ニンニクマヨネーズの「トゥーミーヤ」とフライドポテトがやめられません。
ミックスグリルはおなじみケバーブ、コフタ、シシタウーク、そして珍しくチキンのコフタもありました。
エジプトでもグリルはおいしいですが、シリアの方が上品かな。
焼きトマト、焼き玉ねぎ、刻みパセリも必ず付いています。
滑らかなホンモスがおいしい。
時間がかかるとのことで頼まなかった煮込み料理も、今度は食べたいなぁ。
そうそう、ここにはアイラン(ヨーグルトドリンク)もあります。
エジプトはヨーグルトドリンクと食事を合わせる習慣がなく、普通はレストランにはおいていません。しかしながら、スフィーハやグリルにはアイランがこの上なく合うのです。シリア料理を食べに行ったら、まずはアイランまたはラバンをチェックするべし。
金曜日の夕方、ごった返す店内。
異国情緒あふれる町並み。
と言うのも変ですが、カイロの他のどの場所にもない雰囲気です。
なんだろう、歴史を感じない低層の建物、その向こうに折り重なるような建物が全くない。メイン通りの華やかさとは無縁で、ちょっと急いで作りました、みたいな。うーん、不思議。
などと言っていたら、ドーハってこんな感じだった、と夫が言っていました。
こんな町並みにパキスタン料理店が並んでいて…。
まぁ、ドーハもいろいろでしょうが。
シリア人が多い、と言いましたが、シリア人“ばかり”ではないですよ。
当たり前ですがエジプト人の方が多いです。
あ、でもコシャリ屋は何となく隅に追いやられていた気が。何となく、ですが。
食後はぶらつきながら、エジプトの普通のお店では売っていないシリア食材なんかを物色。
乾燥モロヘイヤを買いました。
スークでモロヘイヤを買って自分で葉っぱをちぎって乾燥させればいいのですが、結構大変なのです。
シリアではちぎった葉っぱが売られていたっけ。
似て非なるシリアとエジプト、なのです。