エジプトとヨルダン、一応お隣の国なのですが、カイロでヨルダン料理のお店は、そう言えばほとんど耳にしません。今や多くの移住者がいるシリアのお店や、アラブ料理の中でも洗練されていると言われるレバノン料理店、そして意外なことにイエメン料理店はカイロには非常に多いのですが。
ヨルダン、シリア、レバノン、この辺りはシャーム地方と呼ばれ、料理も系統が似ているため、ひとまとめにされがちですが、実は全く違うもの(もちろん似ている部分は多いですが…)。
シリアでもレバノンでもない、ヨルダン料理、そう、あのマンサフが食べたい!と思いながら、コシャリで妥協していた今日この頃。いやいや、探せばあるじゃないですか。さすがは大都会カイロ。早速マンサフを食べてきましたよ。
・マンサフとは?
ヨルダンやパレスチナなどでよく食べられている料理です。
ジャミードと呼ばれる、ヤギや羊の乳からつくる乾燥ヨーグルトで肉を煮込み、ごはんにかけたもの。
獣臭がしますが、むしろこれがマンサフの味とも言えます。慣れるとやみつきになりますよ。
結婚式などの行事のおもてなし料理でもあり、町の食堂でも食べられる、まさに国民食といったところ。
ヨルダン以外の国、例えばエジプト、シリア、レバノンなどでは見かけません。
やって来たのはカイロはマァーディーにある「Bawady Jordan」。マァーディーと言えば、外国人が多く住む高級住宅地として有名です。しかしマァーディーは実はかなり広いく、いわゆる高級住宅地のマァーディーはほんの一部分。このお店はその高級住宅地ではありませんのでご注意ください。
お店はスッキリとしたインテリア。お店の人によると、オープンしてまだ9カ月ほどだとか。まだまだピカピカです。
レストラン&カフェと謳っているだけあり、テーブル席とソファー席があり、いつ来てもくつろげそう。
メニューはがっつりヨルダン料理、というよりは、エジプト、シャーム折衷型のようです。でもどちらかと言えばシャームよりかな。エジプト料理では見かけないものも多いです。
ヨルダン料理コーナーの欄を見ると、マンサフ、マクルーベ、ムサッハン、カブサ、壺煮込みがありました。
当然マンサフと、ちょっと変わり種の壺煮込みをオーダー。
サラダ代わりにはタッブーレを注文。
せっかくシャームの料理が食べられるのです。
普通の野菜サラダではなく“ならでは”なものをチョイス。
パセリとブルグルのサラダです。
ほのかな酸味がシャームです。普通においしい。
来ました!マンサフです。
羊と迷いましたが、今日はチキン。
お、これこれ。ほんのりターメリックのご飯の下はシュラークという薄いパン。
ジャミードは別添えでたっぷり、これをかけながらいただきます。
チキンをほぐし、ジャミードをスプーン一杯シャバっとかけ、ご飯をスプーンの腹で軽く押さえジャミードになじませ口に運ぶ。
ほんのり獣臭い、お、これこれ、カイロのどこにもない味。ヨルダンの味。
何年ぶりかな、この味。
あー、満足。
と、マンサフを堪能していると壺煮込みの登場です。
熱々の壺をえいっ。
ぎゃー、めっちゃこぼれていますー。その料理にはこの皿じゃないほうが、なんて思いますが、もう後戻りはできません。
ぼわーっと湯気が立ちこめ、具がどどーっと出てきました。
大量のティッシュに囲まれて、なんとか盛り付け完了です。ふー。
牛肉にニンジン、ジャガイモのシンプルなトマト煮込み。
ただ、もう少し煮込んだ方がよいのかな、と言う印象です。壺煮込みと言うからには、独特の混沌さがほしいところ。まだ若い煮込み、とでも言いましょうか。
実はタッブーレを含めた料理が出るまで1時間ほど待っていたのです。
注文して40分ぐらいたったところで、ほんのり催促をしたのです。
のんびりしたサービスが多いエジプトですが、さすがにこんなに待つことはほとんどありません。
ということで、もしかしたら壺煮込みはもう少し煮込みたかったのかな、とも思います。。
壺煮込みにはシャイリーエライスが付きます。
煮込みをかけながら、パラっモチっご飯がすいすい胃におさまります。
1時間待ち事件があったにもかかわらず、全体的にはよい印象。
何より他では食べられないマンサフがあるのが高ポイントです。
あ~、またマンサフ食べたいなぁ。ジャミードってエジプトで買えるのかな。
今度聞いてみよう。
ジャミードを使わないマンサフの作り方はこちらからどうぞ。