肉料理のイメージが強いアラブ・中東地域ですが、魚も意外と食べられています。
エジプトはカイロでは、地中海や紅海から水揚された魚介類が、市場で簡単に買えるのです。
どこの魚屋にもあるのが、テラピア。おそらく一番安い魚で、庶民の魚といえばテラピアと言っても過言ではありません。
他にはボラ、鯛、スズキといったおなじみの魚や、エビやイカ、カニなんかもだいたいあります。
主に日本から輸入された冷凍サバも、安い魚の部類なので、エジプトにいながら焼きサバ定食も手軽に食べられるんです。
時期によってはカツオもあるので、家では鮮度を見つつ、タタキにして食べていますよ(お客さんには怖くて出せませんが…)。
基本的には値段はキロ単位で、3枚おろしにはできないものの、ウロコや内臓を取ってもらえます。ハエが飛び交っていて、お世辞にもきれいとは言いがたく、最初は抵抗がありますが、慣れれば充実のお魚ライフがエジプトで送れるのです。
多くの魚屋では、買った魚の調理も頼めますよ。
ふすまをまぶして焼いたり、シンガーリーという方法で開いて焼いたり。家ですると匂いがちょっと…なんてときには、なかなか便利なのです。
“意外と種類が豊富”なのですが、意外と調理法は限られているのがこの辺りの魚介料理事情。大抵は揚げる、焼く、トマト煮込みやオーブンで調理、このパターンが多いです。
日本は紛れもなく魚に関しては世界一。あらゆる方法で魚を食べ尽くすDNAを持った我々からすると、ちょっと物足りないなぁ、なんて思うこともありますが、おおざっぱな調理方法でもおいしく食べられるのがアラブの魚料理。
ウロコと内臓を取ったら後はオーブンへ入れるだけ!
日本の魚料理では魚とジャガイモという組み合わせはあまりないと思うのですが、これがなかなか合うのです!
付け合わせは漁師風ライス「ルッズ・サヤーディーヤ」で決まりです。
作り方はこちら
材料 魚…600g ぐらい
ジャガイモ…300g
トマト…300g
レモン汁…大さじ 1
ニンニク…4 かけ
クミン…小さじ 0.5
ドライコリアンダー…小さじ 0.5
油…大さじ 3
塩…小さじ 1+0.5 ※魚はボラを使用
作り方 ① 魚はウロコ、内臓を取る。流水でよく洗い水分を拭き取っておく。表面に切り込みを数本入れる。 ② ジャガイモは皮をむき1 ㎝の厚さの輪切りにする。オーブントレイに油大さじ 1 を引き、ジャガイモを敷 き詰める。塩を軽く振る。
③ ニンニクをみじん切りにし、レモン汁、スパイス類、塩小さじ1を混ぜる。魚の腹に小さじ 1 杯程度を 塗り、残りは魚の表面の切り込みなどに塗り込む。魚をジャガイモの上にのせる。
④ トマトを 1 ㎝の厚さの輪切りにし、魚の周りに並べ、塩を軽く振る。レモンの輪切り(分量外)を飾り、 残りの油を全体にまわしかける。アルミホイルで覆い、200 度のオーブンに入れる。
⑤ ジャガイモに火が通ったら(20~30 分)、アルミホイルを外しオーブンに戻す。表面に焼色が付くまで焼く。 魚の種類はボラ、テラピア、スズキ、サバなどがよく使われます。
玉ねぎやパプリカ、ズッキーニなどの野菜を加えてもよいです。
・アラブの魚料理のハナシ
この辺りの国では、魚と肉(海のものと陸のもの)を一緒に食べるということは基本的にはありません。
日本やその他の多くの国のように、例えば前菜にお刺身、メインに牛ステーキ、という組み合わせは奇妙に感じるようです。
うろ覚えなのですが、高橋由佳利先生の漫画「トルコで私も考えた」の中で、イスタンブールのマクドナルドで、フィレオフィッシュバーガーとアイラン(ヨーグルトドリンク)を注文したら、若い店員に「この組み合わせは死ぬからやめておけ」と真顔で論された、というエピソードがありました。
もちろん、具体的な健康被害があるわけでもなく、ましてや宗教的なタブーでもありません。あくまでも習慣です。ブッフェでは魚と肉料理が同時に並ぶのは普通のこと、外国料理店では同じ店で肉、魚の両方を出しています。
あるエジプト人は、ホテルのブッフェでも、今日は魚、と決めたら、魚系で固める、なんて言っていました。
一方、別の友人とタイ料理を食べに行った時は、グリーンチキンカレーと揚げ魚というオーダーに、ちょっと変だけど、まぁ、別にいい、と普通に食べていました。
魚と肉を同時に出す、それほど気にする必要はありませんが、ちょっと覚えておくとアラブ人の食習慣が垣間見られて面白いです。