外食産業が発展しているとはまだまだ言いがたいエジプトですが、大都会カイロとなると様々なお店があります。しかしながら、その多くはケバブ、コシャリ、ファストフードなどで、例えば家庭料理が一人でもささっと食べられる食堂のようなお店は意外と多くはありません。
そんな中、ダウンタウンに2011年にオープンした「Fasahe Somaya」は、ソマイヤさんのおいしい家庭料理が日替わりで食べられる、まさに私たちの理想とするお店として、あっという間にカイロの有名店として名を上げたのです。
カイロの有名店とは言っても、例えばプリンスのように誰もが知るお店と言うよりは、知る人ぞ知るお店という方がしっくりくるのかもしれません。
食べに来ているお客さんを見回しても、家庭料理は家で食べればいいんじゃない?という、いわゆるエジプトのスタンダードな層よりは、一歩進んだ意識高い層?が多い気がします。
元々は見落としそうな細い路地で、テーブルが3つほどの小さなお店でしたが、この夏に近くに移転してお店も広くなりました。
以前は夜2時間のみの営業で、売り切れ御免、予約はできないので、オープン前に並んでおかないと食べられませんでしたが、移転後の現在は営業時間も少し延び、幾分行きやすくなりました。でもあの小さなお店も懐かしいですけどね。
メニューは日替わりで表の黒板やフェイスブックページで確認できます。
どちらもアラビア語のみですが、お店の人は英語も通じるので心配はいりません。
エジプトの家庭料理がベースで、シリア料理、ちょっとアレンジした料理など、毎日でも通いたくなってしまいます。
この日はカワーレア(すね)、モンバール(腸詰めごはん)、ファッタ、テール、アレキサンドリア風レバーがありました。
テールの煮込みはゴロンとトロンと食べ応え満点!ソースはトマトベースですが、ちょっと甘酸っぱい、むむ、ザクロシロップかな。
砕いたピーナッツがかなり合うんです。
シリア料理なんかだと、料理の表面にナッツをかけるのは割と普通なのですが、多くは松の実、アーモンドなどでピーナッツは一般的ではありません。知り合いのシリア人女性は、この物価高の影響で、料理に飾るのは松の実どころか、アーモンドも手が出ずに、ついにはピーナッツに成り下がってしまったは、なんて冗談を言っていましたが(冗談でもないですが)、いやいや、ピーナッツでもおいしいじゃない!
さっそくソマイヤ流アレンジの洗礼を受けます。
アレキサンドリア風レバーは青唐辛子が入った、ちょっとピリ辛のレバー炒め。
腸詰めごはんのモンバールは、パリッとした皮に、旨味がギュッと詰まったご飯がおいしい。
ご飯ものはファッタ。ちぎったパンに出汁をかけ、ご飯とトマトソースをのせた料理です。ご飯とパン、不思議な組み合わせですが、水分を適度に吸ったモチッとしたパンが意外とよく合うのです。
2人で食べてちょうどよい量。
ブルーをベースとした、かわいらしい内装は、以前のお店時代から変わりません。
エジプトでお店のおしゃれ度が上がると、味は落ちていくというのが、今の所私の見解なのですが、いまその法則が覆されました。
家庭で食べられそうで食べられない、一歩進んだ家庭料理。ダウンタウンで一押しのお店です。