アラブの代表的なお菓子と言えば「バクラワ」。極薄の生地を何層にも重ねて焼き、シロップをかけたお菓子です。
多くはピスタチオやクルミなどのナッツを使いますが、なんと、チーズやクリームを使ったバクラワもあるのです。
日持ちはしませんが、ナッツのバクラワよりも軽く、少し冷やして食べると食後のデザートにもぴったりです。
ただし、エシュタは地域によって製法が異なるので注意が必要です。
エジプトなど、多くの国でのエシュタ(イシュタetc…)は水牛のミルクが原料の脂肪分の高いクリームです。クロテッドクリームとほぼ同じものですね。
そのため、オーブンなどで加熱するお菓子には溶け出してしまうので使用できません。
一方、シリアやレバノンなどのシャーム地方のエシュタは、牛乳が主な原料で、成分はタンパク質が多目です。こちらはそのまま使用できます。
エシュタついてはこちらもご覧下さい→モチッと柔らかい「ハラーワートジュブン」をつくってみよう!
呼び方も地域によって様々です。
「バクラワ・ビ・エシュタ」、「バクラワ・クレーマ」、エジプトだと「バクラワ・ビ・ムハラビーヤ」と呼ばれています。シリアでは「エシュタ」を挟んだバクラワは「ナンムーラ」と呼ばれますが、お隣のレバノンで「ナンムーラ」と言えば、粗挽きセモリナ粉のケーキ(エジプトで言う「バスブーサ」)を指します。
今回のレシピは牛乳にコーンスターチでとろみを付けたクリームと、自家製カッテージチーズを合わせたクリームを使用しました。
牛乳クリームだけよりもコクが出て、焼き菓子によく合いますよ。
材料 (直径22センチの丸形)
フィロペストリー…約350g(16枚~24枚程度)
~カッテージチーズ~(市販のカッテージチーズの場合は150g)
牛乳…750g
酢…大さじ2
~クリーム~
牛乳…350g
コーンスターチ…25g
シロップ…200g
※シロップの作り方 グラニュー糖 2 カップ、水 1 カップを鍋に入れ火にかける。沸騰してきたら弱火にして 10 分煮詰める。レモン汁大さじ 1 杯を加え、冷ます。
作り方
①カッテージチーズを作る。鍋に牛乳を入れ、中火で加熱する。鍋の縁に泡が出て来たら、酢を加え軽く混ぜる。牛乳が分離してきたら火を止め、ふたをして10分ほど置く。ざるにキッチンペーパーを敷き、静かに漉す。
②クリームを作る。鍋に牛乳、コーンスターチを入れ、完全に溶けるまでよく混ぜる。火にかけ絶えずかき混ぜながら加熱する。鍋底が一瞬見えるくらいの濃度がついたら火から下ろし冷ます(表面にぴったりラップをしておくと乾きにくい)。
③クリームとカッテージチーズをよく混ぜる。
④オーブントレイに澄ましバターを塗る。フィロペストリーを一枚敷き詰め、表面にも澄ましバターを塗る。これを繰り返し、生地を半量分重ねる。
⑤クリームをのせ、平らにならす。
⑥残りの生地を同様に重ねる。最後の生地の表面には澄ましバターを塗らない。同じぐらいの大きさのトレイを重ねて軽く押しながら、表面を平らにする。
トレイからはみ出した生地をナイフで切り取る。ナイフの先を使い生地の縁を押し込む。冷蔵庫に1時間から一晩入れ、クリームをしっかり固める。
⑦ナイフで切り込みを入れる。表面に澄ましバターをまんべんなく塗る。
⑧180度に予熱したオーブンで30分から40分、きつね色になるまで焼く。
⑨オーブンからだしたらすぐに冷たいシロップをまわしかける。半日以上置き、シロップをなじませる。
カッテージチーズは市販の物でも構いません。
今回の分量(牛乳750g)でカテージチーズが150g前後できる計算です。
トッピングは刻んだピスタチオがオススメ!
フィロペストリーはインターネットで買えます。
冷凍の場合は封を開けずに冷蔵庫でゆっくり解凍しましょう。