ゆったりしたお家のようなお店で自家製アルメニア料理を楽しんだら、次は町で手軽に食べられる料理も試しましょう!
この辺の国の料理はどことなく似ている物も多いのですが、私が今の所アルメニア独特だなぁ、と思っているものの一つが「ジェンガロブ・ハツ(ゼンガロブetc…)」です。
ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)の料理ですが、エレバンなどでもよく見られます。
香草がたっぷり入ったパン。たっぷりどころか、それ以上。
なんでも20種類以上のハーブなどを使うようです。
アルメニア料理の本のレシピによると、
・クモマグサ ・ケシ ・コハコベ ・キヌア ・スイバ ・イラクサ ・タンポポ ・ビオラ ・ディル ・コリアンダー ・スイスチャード ・ホウレンソウ
・レタス ・ネギ ・玉ねぎ
※わからなかったものが4つあり、しかも約20種類と書いてあるが、19種類しか登場しない。
その他、・ミント ・ナズナ ・ブドウ ・オキザリス ・リーク ・バラモンジン ・カタバミ ・チャービル ・ニンニク
などを使うとのこと。食べられる“草”なら何でもよい雰囲気です。
お隣アゼルバイジャンでも似たような食べ物「クタブ」がありましたが、こんなに野菜がドッサリ入っているわけではありません(クタブの中身は野菜の他にチーズは挽肉など、いくつかバリエーションがあります)。
小麦粉と塩、水だけで作ったシンプルな生地を薄くのばし、みじん切りにした野菜を包んで熱した鉄板(サージュ アラビア語と同じですね!)の上で焼きます。
野菜はまとめて切り置きできますが、塩で味付けをするのは生地に包む直前にするのがポイント。水が出てきますからね。
この「ジェンガロブ・ハツ」の専門店がエレバン中心部にあります。
その名も「ジェンガロブ・ハツ」。そのままです。
メニューはアルメニア語のみですが、ジェンガロブ・ハツと、ビール、ワイン、ヨーグルトドリンク(タン)などの飲み物のみ。
アルメニアのビール「コタイク」でいただきます。
エジプトなんかだと、ハーブのミックスはディル、コリアンダー、パセリ辺りが主で、マハシーなどにもよく使われます。何となく“そんな組み合わせの味”なのかなと思っていると…。
結構パンチある味なのです。野菜だけなのに食べ応えがある。野菜その物の量が多いので、もちろんそういう意味ではボリュームがあります。
しかしながら、この複雑な味は何だろう。
スパイスや、脂や、肉っ気が入り交じった混沌とした複雑な味わいの料理は世界中にあるのだけど、この複雑な青さは初めて。
渋みや酸味、苦みや甘みがダイレクトに感じると言うのでしょうか。
時折感じるバターのような優しい温かな香りが安心する。
こんな鮮やかな緑色をしていますが、熱々なので、油断してしまう。
そう言えば、エレバン初日、本屋の料理コーナーを見ていると、こんな本を見つけました。
タイトルには、なんとかハツ(パン)?
何かのパンの本のはずなのに、中身をめくるとハーブの事ばかり(そのときはハーブと言うよりも、植物図鑑のように感じました)。
これがまさにハーブ満載のジェンガロブ・ハツの本だったのです。
このおいしさに気付くや否や、急いで本屋に戻りこの本を購入したのは言うまでもありません。
あー、ボリューム満点で思った以上に満腹。
ちょっと軽い物でも…と思っていると。
ラフマジュンが目に入りました。
階段を数段降りる、半地下のようなお店。
トマトと玉ねぎがたっぷりのジューシーな挽肉を見ると知らぬ間に列に並んでいました。
ちょっと待ってね~、とおばちゃん。
ジェンガロブ・ハツの後では、ラフマジュンさえも軽いと思うのでした。
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