国際色豊かなロンドン。街を歩けば「イギリスの料理」よりもチャイニーズやインド、トルコなどなど、世界各国の料理のお店が目立ちます。
アラブ・中東系の移民も多く、彼ら発祥の料理も広くロンドンの食卓に根付いているようですが、多くはレバノンやペルシャ、北アフリカなど、ざっくりしたカテゴリーのような印象を受けます。
そんな中、なんと、我ら?エジプトの国民食「コシャリ」の専門店がありました。
「Koshari Street」はロンドンの中心「コベンントガーデン」と「レスタースクエア」の間にあります。
カウンターだけの小さなお店。
それでもひっきりなしにお客さんがやって来ます。
メニューはコシャリの他、モロヘイヤやファラーフェルなどのラップサンドなどがあります。
お菓子もあります。
ここはとりあえず定番のコシャリを。
一番小さなサイズを注文しましたが、ボリュームは満点。お、カイロっぽい。
カイロと同じく、ショーケースの食材を器にどんどん盛り付けていくので、急いでる時でも安心。すぐ出来ます。
米、マカロニ、レンズ豆はあらかじめしっかり混ぜてあります。
これにトマトソース、フライドオニオン、ひよこ豆をのせます。
スパイシーなソースをかけてもいい?と聞かれたので、もちろん!と。
ちなみに、カイロのコシャリ屋さんでは必ず置いてある「シャッタ(チリソース)」と「ダッア(ニンニク酢)」はイートインスペースに見当たりませんでした。
おお、これは。カイロの味。お店がおしゃれなので、チャラついた味かと思いきや、いやいや、なかなかカイロの雑踏の味。
短く切ったスパゲッティーが入っていないのですが(私は自分で作るときは入れません)、米はパラッと、マカロニはぐにっと柔らかく、それでいて全体は一つ一つの具材が独立しているのです。
そうそう、コシャリってこれだ。全体的にぐしゃぐしゃのように見えて、実はパラッとしている。これこれ。
それに、トマトソースが美味しい。というと、しっかりした甘みと深みがあるトマトソースかと思うかもしれませんが、これはさっぱりしたソース。
これこそがコシャリの雰囲気を決める最大の要因だと思うのです。
コシャリのトマトソースは玉ねぎは基本的には使いません。
いや、別に使ってもいいのですが、普通は使いません。エジプト人にコシャリの作り方を教わった時も、玉ねぎは入れないのよ、と言われたし、アラビア語のレシピをいろいろ見ても入れないのが多いのです。
日本人的には玉ねぎをしっかり炒めて、甘みのある「美味しい」ソースを作りたくなりますが、「甘ったるい」ソースだとやっぱり違うのではないかなと思います。
いや、むしろその手の込んだソースの方が美味しくなるかもしれませんが、美味しいけど、ああ、カイロのコシャリとは違うな、なんて思ってしまうかもしれません。
そうそう、このお店のコシャリ、ドライミントやナッツなどを細かく砕いたパウダーがかかっていました。
これがあまりにも美味しく、お店の人に聞くと、カシューナッツやピーナッツなんだとか。
もしかしてアレルギーでしたか?なんて慌てさせてしまいましたが、いえ、すごく美味しかったので!
あとで思ったのですが、このパウダーはエジプトでは「デュッア」と呼ばれる物をイメージしたのかな。
デュッア(ダッア、ダッカetc…)は地域によって違いがありますが、スパイスやハーブなどを粉状にしたもの。オリーブオイルに溶いてパンに付けたりします。
エジプトのデュッアは、塩、クミン、コリアンダーシード、ごま、ピーナッツなどを使い、エジプト人曰く、貧しい人が食べるのだとか。
一方、コシャリにかけるニンニク酢「ダッア」。
エジプトではガラスの瓶に入っていたり、持ち帰りの時にはポリ袋に入れて口を縛ってくれたりしますが、最近はこんなのも。
このお店では見当たりませんでしたが、もしかしたらあらかじめソースに入っていたのかもしれません。
このデュッアとダッア。文字で書くと全く同じなのですが、エジプトでは発音の違いで呼び分けています。
もしかして、このお店はダジャレを効かせていたのかな。なんて。
※リニューアルしてお店の外観は変っています