エジプトには「アルバーン」と呼ばれる乳製品屋があります。
ミルクやチーズ、ヨーグルト、そしてミルクを使ったデザートなどを取り扱い、個人店、チェーン店、規模は様々ですがですが、有名店には行列ができることもあります。
アルバーンで扱うのは水牛のミルク。普通の牛乳よりも脂肪分が高く、濃厚な味わい。それらで作られたクリームキャラメルやムハッラビーヤ、ミルクの重たい甘みを存分楽しむことができる、非常に贅沢なデザートなのです。
ちなみにアルバーンの水牛のミルクは、そのままでは飲めません。一度沸かして殺菌する必要があります。そのときに取れるのが「エシュタ」。クロテッドクリームです。もちろんエシュタその物も売っていますよ。
普通の牛乳はスーパーで買えます。こちらはそのまま飲めます。
アルバーンはお店によって多少の差はあるものの、正直どこも似たり寄ったりの品揃え。
ところが、サイイダザイナブにある「カルナック」は、名物「爆弾」の発祥として有名です。
表通りから少し入った路地にお店はあります。
このお店も他のアルバーンと同じく、ミルクやヨーグルトなども販売しています。
が、多くの人がわざわざこのお店に来る理由。それは「コンボラ(爆弾)」。
カウンターで手渡されると、初めての人は「お、おも」となるほど、ずっしり重量感があります。
この「コンボラ」、クナーファ、カスタード、マンゴージュース(ピューレに近い)、イチゴジュース(同じくピューレに近い)、リンゴ、バナナ、そして極めつけのたっぷりイシュタで構成されています。イシュタ攻撃。
まさに、カロリー爆弾!
断面の写真はとても見苦しいので控えますが、混沌とした味はカイロらしさ炸裂です。
クナーファはサクサク~!ではなく、じっとり水分を吸って重い。バナナってこんなに爽やかだった?と思うほどドロドロと迫り来る共演者。
しかしながら、ウマいのです。どうしようもありません。
エシュタはほぼ脂肪分ですが、その物が甘いわけではないので、どっぷり入った甘いマンゴーピューレをまとわせて食べるとすこぶるちょうどよい。
ひー、おそろしい。
日本人的には2人でぐらいでシェアするのがちょうどいと思うのですが、エジプト人はひとり一つ。おばさま達もひとり一つずつ召し上がっています。
お店の周辺はちょっと庶民的で、特に女性だと嫌な思いをすることもあると思いますが(庶民的=治安が悪い、というわけではないですが…)、お店の人は好印象。
古い冷蔵庫も現役なんですって。
持ち帰りでクリームキャラメルを買いました。
プリンの素のプリンみたいでした。
このサイイダザイナブの他、インバーバとダール・サラーム、マタレイヤにも支店があるみたい。ひー、どこまでも庶民的。