アラブ・中東地域での主食は間違いなくパンなのですが、お米も日常的に食べられています。
日本と同様に炊いて食べるのですが、違う点と言えば塩と油を入れて炊くこと。水だけで炊くということは一般的ではありません。
更には、短いパスタ「シャアリーヤ」を一緒に炊くことも多いのです。
「シャアリーヤ」はカッペリーニを短く切ったようなパスタ。
これを油できつね色になるまで炒め、米と一緒に炊きます。
材料 約3人分
米(日本米)…300cc
シャアリーヤ…100cc
油…大さじ1~2
塩
作り方
①米を洗い30分程度水に浸ける。ざるにあけ、水気を切る。
②鍋に油を熱し、シャアリーヤをきつね色になるまで炒める。
③米を加え全体に油が回るようによく混ぜる。
④熱湯450cc、塩を加え軽く混ぜる。
⑤蓋をして、再び沸騰したら弱火にして、水気がなくなるまで炊く。
今回の分量は、米とシャアリーヤの割合が3:1ですが、お好みの割合で構いません。
水の分量は米とシャアリーヤの分量の“ちょい”多めにするとよいです。
塩は、今回の分量で小さじ1杯入れていますが、こちらも好みで調整してください。
油もお好みのものを。澄ましバター(サムナ)を使うとコクと香りが出ますが、普通のサラダ油やオリーブオイルなどでもよいでしょう。
シャアリーヤがない場合は、分量の米の3分の1程を先にきつね色に炒めてもよいです。
これを「ルッズ・ムフィルフィル・ハッバ・ワ・ハッバ」などと呼んだりします。
魚料理の日は、玉ねぎを飴色になるまで炒めたルッズ・サヤーディーヤを食べますよ。
冒頭で、日本の米の炊き方との違いは油と塩を入れることだ、と言いましたが、もう一つ大きな違いがあります。
それはお湯から炊くこと。
日本では米は冷水から炊くのが常識ですが、アラブ・中東地域にその考えはありません。
今回のように熱湯を使ったり、米を先に炒めたりする方法が主流です。
この辺りの地域では、米に「もっちり、つやつや、甘み」などを求めません。
日本と同じ品種の米を使うことも多いので、日本人の「外国のお米」に想像されるようなパラッパラの仕上がりにはなりませんが、もっちりした米料理はあまり評判がよろしくないようです。
どうやらお米というのは、沸騰するまでの時間が長い方がもっちり甘みが出るのだとか。
(品種や条件などにもよりますが)。
なるほど、そういうわけで日本では冷水から炊くのがよいとされているのでしょう。
それとは反対に、アラブ・中東地域ではもっちりは必要ないので、熱湯から炊くということなのでしょうか。
彼らがこのお米の性質を理解して熱湯を使っている、ということではなく、習慣によるところが大きいと思われ(日本でもおそらくそうですね)、実際にはアツアツの熱湯ではなく、ぬるいお湯を使ったり、水道の水を使う人もいるので、この辺りは適当でも大丈夫なのですが。
・お米について
外国のお米と言うと、長細いパラパラとしたお米を想像する人も多いと思うのですが、私が暮らしたシリアやエジプトでは「エジプト米」Aと呼ばれる、日本と同じジャポニカ種が一般的に食べられています。
このエジプト米は、1917 年に日本から導入された品種。
今回のレシピのように炊いたり、野菜などに米を詰めた「マハシー」などにも欠かせず、スーパーやスークなどで簡単に手に入ります。
様々なメーカーから発売されており値段も少しずつ違いますが、日本のように銘柄が表示されていることはありません。
値段の差は、例えば安い物だと割れている米が多いとか、品質の差によるところが大きいようです。
B~D はいわゆるインディカ種と呼ばれる、粘り気が少なく、細長いタイプの米です。
購入時の表示では、 B、C はバスマティ米、D はゴールド米との表示でした。
バスマティ米は実はエジプトでは高価な米で、メーカーにもよりますがジャポニカ米の 3~4 倍程します。産地は パキスタンやインドで、細長く、炊きあがりもそれほど横に広がりません。
B は産地不明でスーパーで安売りバスマティ米。C はパキスタン産で、こちらの値段はジャポニカ米の 5 倍程でした。
D はジャポニカ米の 2 倍程の価格です。産地は不明ですがおそらくエジプト産と思われます。バスマティ米と比べると大粒で、炊きあがりは粘り気こそないものの、一粒一粒に存在感があり、かみ応えがあります。
その他、タイ産などは単にホワイト米、ジャスミン米、特に名称は付けず長粒米などという表示のものもあり ます。
エジプト人、そして一般的なアラブ人は長いタイプの米のことをひっくるめてバスマティ米と呼ぶ傾向があります。レストランなどでメニューにバスマティ米とあっても、実際はDのゴールド米と思われる米が出てくることもありま す。
アラブ料理のレシピにバスマティ米が登場しても、必ずしもいわゆる「バスマティ米」でなくてもよいということです。
※アラブ・中東地域の米事情は、国や地域によって大きく異なります。
上記の調査はエジプト・カイロのものです。