アラブ・中東地域には、いろいろなスープがありますが、その中でもレンズ豆のスープは最も定番のスープではないでしょうか。
レンズ豆のスープと言うと、トルコが有名なのではないかと思います。
トルコを訪れると、何はともあれスープ。食堂ではパンとスープだけの簡単な食事をする人を頻繁に見かけ、家庭でも食事の始めはスープ、という場合が多いように思います。
トルコのバスターミナルの食堂で。卓上には粉末の唐辛子とクミン。これらを好みで加えます。
長距離の移動でカチコチになった体も、温かいレンズ豆スープが染み渡ります。
トルコ人のお友達の家。数日滞在させてもらいましたが、食事の際には必ずスープが登場しました。
一方、シリアやエジプトなどでは、トルコほど毎食スープが登場、というわけではありませんが、数あるスープの中でもレンズ豆のスープはやはり定番です。
シリアの食堂。右上がレンズ豆のスープです。
シリア人の友人宅で。お鍋にいっぱいのレンズ豆スープ。余談ですが、一般的にアラブ人は料理を一度にたくさん作って数日かけて食べる、という家庭が多いようです。日本人は毎日料理する、と言うと、結構びっくりされます。もちろん人によりますが…。
こちらもシリア。トッピングにカリカリに揚げたホブズ(パン)が添えられていることもあります。どっさり入れて、最初はカリカリ、だんだん水分を吸ってもっちり。おなかも膨れます。
エジプト人の友人宅のおもてなし料理にもレンズ豆のスープがありました。アヒルでとった濃厚なストックを使っていて、非常に美味。
このように、広い地域で食べられているので、作り方も千差万別。
基本的にはレンズマメと野菜を茹でて、ミキサーなどですりつぶす、という手順で作られます。
チキンなどの家禽類で取ったスープストックが黄色いレンズ豆に合うのですが、もちろん牛や羊などのストックを使う場合もあります。水だけで作る人もいます。
ミキサーなどですりつぶす、と言いましたが、つぶさない人もいます。
思いの外シンプルな材料と手順です。
地域によって、人によって様々なレンズ豆スープがあるのですが、エジプトでは仕上げに極細パスタのシャアリーヤを加え、シリアではお米を加えることがあります。
ここではエジプト方式の作り方を紹介します。
材料
レンズ豆…200g
人参…100g
玉ねぎ…100g
トマト…100g
じゃがいも…100g
長ネギ…50g
クミン…小さじ1
塩、こしょう
油
シャアリーヤ…30g
にんにく…3かけ
油…大さじ2
ドライコリアンダーシード…小さじ1
作り方
① レンズ豆は軽く洗い、水気を切っておく。
② 玉ねぎ、長ネギをみじん切りにする。鍋に油を熱し、しんなりするまで炒める。
③ トマト、じゃがいもはざく切りにし、2に加える。全体に油が回ったらレンズ豆、水(500㏄ぐらい)を加え、材料が柔らかくなるまで煮る(30分ぐらい)。
④ ミキサーなどで潰し、鍋に戻す。水を加え濃度を調整する。塩、こしょう、クミンで味を調える。
⑤ 小さなフライパンに油(澄ましバター、オリーブオイル等)を熱し、バーミッチェルを炒める。色づいてきた ら、みじん切りにしたニンニク、ドライコリアンダーを加え、香りが立つまで炒める。
⑥ 5を油ごとレンズ豆のスープに加える。軽く混ぜ、蓋をして弱火にしてシャアリーヤが柔らか くなるまで約 10 分煮込む。
水の代りにチキンストックを使ってもおいしいです。
野菜を炒めずに、そのままレンズ豆と一緒に茹でる方法も一般的です。
ただし、日本の野菜は味が優しいので、炒めたほうがおいしいかなと思います。
お米を入れるシリア方式は、野菜とレンズ豆が柔らかくなったら、洗った米(レンズ豆200gに対し米一掴みぐらい)を加え、米が柔らかくなるまで煮込みます。
レンズ豆のスープにはレモンを添えて。
ドライミントや粉唐辛子などを好みで振りかけていただきましょう!