カイロにはアズハル大学でイスラームを学ぶ東南アジアの留学生が多く、このブログでも彼ら行きつけのお手頃東南アジア食堂をいくつか紹介していますが、あまり時間や土地勘のない旅行者でも気軽に寄れる食堂がありました。
カイロに来た人が必ず行く場所のひとつが「ハーン・ハリーリ」。中世から残る美しいスークに、おびただしい数のお土産屋がひしめき合います。
現在でも仲卸としての役目も果たし、お土産エリアを少し離れると、観光客向けではないお店がどこまでも広がり、行くたびに発見がある魅力的なエリアです。
この辺りには、主にイスラーム関連の書籍を扱う書店も多く、東南アジアからの留学生が熱心に書店巡りをしている姿が見られます。
ちなみにこの辺りは地元の人は「ホセイン」と呼びます。
そんな地域で書店をいくつか回った際に見つけたのが、「Patani Thai Restaurant」。
ホセインモスクの東側、本屋が並ぶ坂道を入った場所にあります。
テーブルが4つだけの小さなお店。メニューは写真付きで壁に貼ってあります。
基本的にはメニューはインドネシア語(マレー語?)とタイ語のみでしたが、お店の人が親切に教えてくれます。もちろんアラビア語は通じます。
チキンのちょっと辛い炒め物のような物とごはんが食べたい、とお店の人に告げると、じゃあこれだな、とメニューを指さして教えてくれました。
飲み物は、東南アジアでおなじみの(私はカイロでしか飲んだことないですが…)激甘ドリンク。
今回は紫のkeladi。ヤム芋?なのかな。ココナッツミルクと2層になって美しい。
厨房から、ガンガンと勢いよく炒める音と、焼けた油と唐辛子の熱くなるような匂い。
あっという間に出来上がりです。
醤油のような、オイスターソースのような、慣れ親しんだ味の、でも多めの油の熱々ソースが、シャキッとした玉ねぎをコーティング。ぱらっとしたご飯を崩しながら、ソースとチキンに絡ませ一口。
ああ、やっぱりこういうごはんは落ち着くな。もちろんエジプト料理もおいしいけど、その合間に食べたくなるアジアのごはん。暑さと疲れで落ち気味だった食欲がもりもり回復していくよう。
エアコンのない店内で、熱々の油なのか、唐辛子なのか、ハーっとなった口は、甘い甘いドリンクが癒してくれます。
ごはんもさることながら、やはり、店員さんやお客さんの多くが同じアジア人ということに、なんだか癒されるのです。驚くほどの喧騒のカイロの小さな避難場所。
猫も覗くかわいいピンクのお店です。