世界最小のパスタともいわれるクスクス。砂のような極小さいパスタで、熱湯でふやかして食べることのできるクスクスは、すっかり日本でもおなじみになりました。アラブ料理、とのイメージがあるかもしれませんが、実はクスクスはモロッコやチュニジアなど、北アフリカで主に食べられていて、エジプトやシリア、レバノンなどではそれほど一般的ではありません。
もちろん全くないわけではなく、スーパーなどでは見かけるし、エジプトではクスクスは粉砂糖をかけて、デザートとして、レバノンには、大粒のクスクスがあるなど、食べ方や形を変えて存在しています。
エジプトの隣の国、リビアでもクスクスはよく食べられていて、カイロでもいくつかあるリビア料理のお店で食べられます。
その一つがカイロ東部ナセルシティにある「Ahl Al Naja Restaurant」。村落の人々、といった意味でしょうか。(ナジュアという地名がリビアにあるのかなと思いましたが、見当たらなかったので、辞書的な意味を当てはめました)
店内にはパレスチナの旗が掲げてありました。
この時期(2024年2月)のカイロは、いたるところでパレスチナへの連帯を示す旗やメッセージなどをよく見かけました。
テーブルは二つだけの、食堂といった趣のお店です。
と思いきや、座敷席もあり、大人数でも大丈夫そう。この日も予約なのか、座敷席に飲み物を並べたりと準備が進んでいました。
メニューは日替わりのみで、この日はチキンのクスクス。サラダやムバッタンなど、サイドメニューもあるようです。
チキンの骨付きもも肉がドーンとのったクスクス。このような骨付きもも肉は、日本ではクリスマスのような、なんだか特別のような雰囲気がありますが、この辺りの地域ではいたって普通なのです。お肉は茹でてスープを取り、それでいろいろな料理を作り、茹でたお肉もグリルなどをして一緒に食卓に並べるのが、アラブ料理のよくある手順です。骨付きの方が美味しいスープも取れるし、お肉も美味しい。
リビアのクスクスは、甘く炒めた(というより、蒸した)玉ねぎをたっぷりのせるのが特徴かなと思います。
そして、チュニジア同様、クスクスには予め味をつけておくタイプ。クスクスと言えば、モロッコが有名ですが、モロッコはプレーンなクスクスに食卓でスープをかけながら食べるスタイルが一般的である印象があります。
しかし、私はモロッコやチュニジアには2週間程度の旅行のみでしか滞在したことがなく、リビアに関しては、カイロのリビア料理店でしか食べたことがないので、実際にはいろいろなバリエーションがあるのだろけど。
ぎゅっとうま味が染みたクスクス。シナモンをほんのり感じる甘玉ねぎとコリっとしたひよこ豆。そうだ、これはトッピングではなくて、なくてはならないおかずのようなものか。
チキンはフォークでほぐれるぐらい柔らか、でも噛むほどに味がしっかりある。エジプトで食べるチキンは、一度茹でてスープを取った後でも出がらしのようにならず美味しいのです。
シンプルでどっさりしたクスクス。クスクスはこうでなくては。
日替わりのメニューは、ワッツアップでメッセージをくれればすぐに教えてあげるよ、と、お店のおばちゃん。話し方が、どう聞いてもエジプト人ではなく、知り合いのリビア人女性にそっくりだったので、リビア人なのでしょう。
このお店の近くに、別のリビア料理店があり、最初はそちらで食べる予定でした。
2022年の夏にカイロを訪れたときに残念ながら時間が合わず食べることができなかったお店です。
今回訪れると、お店もきれいになっており、店内はソファー席があるなど、カフェとしても使える雰囲気でした。実際にテレビでスポーツ観戦を楽しんでいるお客で満席でした。
2022年のお店の様子。
雰囲気がガラッとかわりました。
これまた近くにある、シリアのお肉屋さん。
その隣には小さなスーパーも。
シリアの食材を売る店も、さほど珍しくなくなり、すっかりカイロの町に溶け込んだようにも思います。シリア食材はエジプトとは異なるものも多く、似て非なるシリアとエジプトの料理なのです。
アラブ各国の料理を楽しむのも、カイロの楽しみのひとつです。
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