ギリシャの首都アテネには、パルテノン神殿などのメジャー級の遺跡が町中にあり、非常に観光しやすい町です。遺跡巡りに遠出して一日を使わなくても、ショッピングの合間に遺跡巡りができ、短い旅行でも存分にギリシャを満喫できるのです。
でも、観光客相手のレストランやお土産屋さんがひしめきあう遺跡周辺に留まるよりも、普通の町をブラブラ歩く方が楽しい!今日も美味しい物を探して町をさまよいます。
アテネの中心部「シンタグマ」から地下鉄で西へ一駅の「モナスティラキ」は、半地下のちょっと変わった駅です。
ここはフリーマーケットが有名。日曜日には骨董屋さんが並ぶメイン会場?の周辺の路地にもお店が出て賑わいます。
アンティーク(風)家具や食器、古本、古着、ガラクタなど、何でもありで、あっと言う間に時間が経ってしまいます。
そう言えば、ちょっと小綺麗なアンティークっぽい物を並べているストールに、シリアの特産品、寄せ木細工の箱がありました。この寄せ木細工、私はこれまで結構な数を見てきたので、そこそこ善し悪しがわかるつもり。そこにあったのはお世辞にもよい物とは言えない代物だったのですが、言い値とは言えそこそこよい値段。まぁ、でもギリシャでは多少は珍しいなどの希少価値などもあるよね、なんて思っていたのですが…。これ、どこの国の物?とお店の人に尋ねると…、「うーん、イスラム」。うむ、イスラムって、国じゃないし、いや、国だと名乗っている人々もいるにはいますが。
「モナスティラキ」から地下鉄で北に一駅の「オモニア」はちょっと雑多な雰囲気のエリアです。実はここ、治安が非常に悪く、何があっても近づくなとガイドブックなんかには書かれているのです。ただ、うーん、私はそこまで悪いとは感じませんでした。まずオモニア駅東側は世界チェーンのショップなどが建ち並ぶ、いたって普通の繁華街(だからといって治安がよいという理由にはなりませんが)。
一方反対の西側は移民が多いエリアのようで、インド、パキスタン、ロシア、などなど、いろんな言語の看板といろいろな人が入り交じる、そういうのがおもしろいと感じる人にはたまらない場所です。
こんなマスジド(モスク、礼拝所)もありました。賭け屋さんの隣ですが…汗。
意外なことに、グルジア語の看板を掲げたお店が非常に多かったです。グルジア人多いのかな?
確かに他のエリアに比べたら、何だか得体の知れないものが溢れているので、危険に感じる人が多いのも納得できます。さすがに移民=治安悪!みたいなイメージではなく、トラブルが実際にこの地域で多いという統計などから注意喚起しているはずなので、やはり気をつけた方がいいのかもしれません。夜や通り1本違うだけで雰囲気ががらっと変わる事もあるでしょうしね。
そんな「オモニア」駅すぐ近くで、お腹が空いて飛び込んだお店。
雑居ビルの地下にあるタベルナです。
恰幅のよいお店のおばちゃんが丁寧にメニューを説明してくれます。奥からはニンニクのいい香り。
お肉料理もあるけど、魚介料理がおすすめなのだそう。
右側はほうれん草とお米の料理「スパナコリゾ」、イカ入りです。
ギリシャではほうれん草をよく食べる印象で、スーパーにも冷凍ほうれん草、さらにこのスパナコリゾ用の米入りほうれん草までありました。
リゾットのようですが、なぜかリゾットではない、あくまでもほうれん草が主役の料理です。
ロカンタのようなできあいのおかずが並ぶ食堂でも必ず目にするほどポピュラーで、粘りのない長粒種の米が意外と軽く、疲れ気味の胃にもちょうどいい。
レモンをたっぷり絞って食べると無限に食べられますよ!
左側は「ムール貝のサガナキ」。サガナキというと、フェタチーズなどに小麦粉をまぶして焼いた料理が一般的ですが、そもそも両手付きの小さいフライパンのことをサガナキというようで、それで料理したものもサガナキと呼ばれるそう。
ピリ辛のトマトソースにムール貝がたっぷり。表面のフェタチーズが熱くなった口の中を和らげてくれます。こちらにもレモンを絞って。
パンにソースを浸しながら食べてね、とお店のおばちゃん。うんうん、これは絶対パンだよね。
ちょっと冷房の効きが悪い店内で、おばちゃんの息子らしき少年が夢中でプレイしている、全く勝つ気配がないサッカーゲームを眺めながら、キンキンに冷えたビールとこの料理。なんかいいよね、こういうの。
ふー、うまかったー、とソースまできれいにパンでぬぐって食べ尽くして、残りのビールをちびちび飲んでいると、おばちゃんがヨーグルトを持ってきてくれました。
チェリーのジャムはおばちゃんのお母さんの手作りだそう。
ゴロンとした肉厚のチェリーは、これだけでもデザートになります。
ギリシャのヨーグルトは水分が少なめの濃厚なタイプで、もっちりとしたタイプ。これがまた美味しいんです。
でも私、実はギリシャヨーグルトを初めて食べたときは、全然食べられなかったのです。
あれはロンドンに住んでいた18年ほど前、友人が「あのね、グリークヨーグルトっていうヨーグルトがすーーごい美味しいのよ!ギリシャのヨーグルトで、なんかね、クリームみたいで、あれを食べたら普通のヨーグルトには戻れない!」と興奮気味に教えてくれたのです。
ほうほう、ならばと、近くのスーパーで買ってみたものの…。うわっ、濃!3口目からは喉を通らず、完全にギブアップでした。
あれから十数年。私も成長したものです。
このお店、薄暗い地下にあるので、ちょっと入りづらいですが、庶民的でリーズナブルでおすすめです。
Υποβρύχιο Γευσιπωλείον(イポブリヒオ)、おばちゃんによると「Submarine tasty house」っていう意味だそう。確かに潜水艦風の飾りがあったかも。