麺のような生地「クナーファ」は、アラブ菓子の中でも最も特徴的な素材のひとつです。小麦粉を水で溶いた生地を熱い鉄板の上に垂らしながら作り、できたてはふわふわ柔らかく、滑らかな髪の毛のよう。
この生地にナッツやクリーム、チーズを挟んだりのせたりして様々なお菓子ができあがります。
生地自体に味は付いていないので、焼き上がりにかけるシロップで甘みを加えるのが基本。
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地域によってよく使われる材料や、名前など少しずつ違ってきます。
例えば、シリアやレバノンなどシャーム地方では、挽いたクナーファ生地にモッツァレラチーズに似たアカウイーチーズを挟んで焼く「クナーフェ・ナーブリスィーエ」が名物。その名の通りパレスチナのナブルスが有名なのですが、パレスチナ出身の知人曰く、一番美味しいナーブリスィーエはヨルダンのアンマンに有り、とのこと。この辺り一帯ではポピュラーなデザートなのです。
エジプトでは、残念ながら「クナーフェ・ナーブリスィーエ」文化圏外なのですが、シリア人移民が増えてきたこともあり、ナーブリスィーエを味わえるお店もそれに比例して増えてきました。が、炭焼きクナーファという、シリアではちょっと見たことのないクナーファが一時微妙な流行をみせるという出来事が。どちらかと言えば、トルコの「キュネフェ」に近い感じがしますが、シリア発祥!と謳っていたり、店員さんもシリア人だったりで、シリア人の友人も、「何だろうね、シリアでは見たことないよね。」なんて不思議がっていました。
シリアにはクナーファの生地が2種類売られていて、中華麺ほどではないですが、ちょっと太めの生地があって、この生地はナーブリスィーエ用だったと思います。なので、極細のクナーファ生地でナーブリスィーエを作ると、ちょっと弱々しくなる気がします(でも別にまがい物というわけでは全くないのですが)。
話がナーブリスィーエばかりになってしまいましたが、エジプトではミルクプリンの「ムハラビーヤ」や、カッテージチーズやリコッタチーズに似た「アリーシュ」というチーズを挟んで作るのが家庭での定番です。
特にリコッタチーズはちょっとレモンの風味のするシロップと相性抜群です!
このシロップの分量はかなり甘さ控えめです。ただし、焼き上がりにかけたときはクナーファから溢れるシロップに戸惑いを感じるかもしれません。でも、えいっと躊躇せずかけてください。冷める頃には、あのシロップはどこに消えたの?というぐらい落ち着いているはずです。
材料(直径22センチの丸形)
クナーファ…180g
バター…120g
リコッタチーズ …350g (カッテージチーズでも可)
シロップ※ …180g
※シロップの作り方 グラニュー糖 2 カップ、水 1 カップを鍋に入れ火にかける。沸騰してきたら弱火にして 10 分煮詰める。レモン汁大さじ 1 杯を加え、冷ます。
作り方
①クナーファを手で細かくほぐす。バターは湯煎などで溶かし、クナーファに加え全体をよく混ぜ合わせる。
②クナーファの半量をトレイに敷き詰め、リコッタチーズを上に広げ平らにならす。残りのクナーファをチーズの上に広げ、平らにならす。
③180度に予熱したオーブンで30から40分、全体がキツネ色になるまで焼く。
④オーブンから出し、別のトレイにひっくり返して、冷たいシロップをかける。
温かくても、冷たくしてもどちらでも美味しくいただけます。
焼き上がりにトレイから出さずに直接シロップをかけても構いません。
チーズの代わりにナッツで作ると日持ちのする焼き菓子になります。
好みのナッツを砕き、グラニュー糖、あれば花水を混ぜて使用します。
クナーファに焼き色を付けないで仕上げると水晶と言う意味の「バッルーリーヤ」になります。
クナーファにバターを混ぜず、そのままトレイに敷き詰めてオーブンに入れます。全体が乾燥してきたらオーブンから出しシロップをかけます。クナーファとバターの香ばしさがないので、シロップにバラ水や花水を入れるといいですね。
きれいな緑色のピスタチオを使うのがお決まりですが、アーモンドを使ってみました。そして生地はもう少し薄めがいいですね。。
余って乾燥してしまったクナーファはパン粉代わりに使えますよ。
エビフライやコロッケなど、いつものパン粉とは違ってザクザク、ボリュームが出ておすすめです!
日本では、冷凍されたクナーファがインターネットで買えるようですね。