お豆のトマト煮込みはアラブ料理の大定番。安食堂には大抵置いてあるし、家庭でも大量に作って数日かけて食べることもあります。
ファソリヤとはアラビア語で「インゲン」のこと。もっとも、この発音はエジプト風で、例えばシリア辺りでは「ファースリーエ」などと、微妙に異なります。
ダマスカスに住んでいた頃、大好きでよく通っていたお店にはランチメニューに「ワジュバート(定食)」がありました。日本だとランチタイム限定のお得なセットは当たり前なのですが、シリアではこういったシステムは殆どなかったと思います。日替わりで2種類。ご飯ものや煮込みなど、シンプルな家庭料理が美味しかったのです。そこで「ファースリーエ」の日に当たると大喜びで頼んでいました。極細パスタのシャイリーエ入りご飯を添えて、ラデッシュや玉ねぎをかじりながら食べるファースリーエは、いくら食べても食べ飽きない、まさにアラブの毎日のごはんという趣でした。
豆と肉を茹でるのに時間がかかりますが、作り方は単純で、トマトを炒めて肉の茹で汁と茹でた豆を加えるだけ。エジプトなどの家庭では、肉やチキンなどを一旦茹でて、その出汁をスープや煮込み料理などに使い、肉そのものは煮込みの具にしたり、オーブンで焼いたり、パン粉を付けて揚げたりして食べます。
材料
乾燥白インゲン豆 250g
牛肉 500g
玉ねぎ 1.5 個
トマト 500g
トマトペースト 大さじ 1
ニンニク 2 かけ
カルダモン 2~3 個
ペイリーフ 2~3 枚
塩、こしょう 油
作り方
①白インゲン豆は軽く洗い、たっぷりの水に一晩浸ける。柔らかくなるまで茹でる。
②肉は一口サイズに切り、玉ねぎ 0.5 個、カルダモン、ベイリーフ、塩と共に柔らかくなるまで水から茹で る。カルダモン、ベイリーフを取り除く。
③玉ねぎ1 個をみじん切りにする。油を熱した鍋で透き通るまで炒める。トマトペーストを加え、軽く炒め る。
④トマトはミキサーでジュースにする。③に加え水分が減り、鍋底が見えるようになるまで 煮詰める。
➄白インゲン豆、肉、肉の茹で汁を加える。塩、こしょうで味を調え、10 分ほど煮込む。
➅ニンニクをみじん切りにする。小さいフライパンに入れ、油大さじ 1 で炒める。香りが立ってきたら、➄にジュッと加える。軽く混ぜる。
白インゲン豆以外の豆でも同様に作ることができます。エジプトでは黒目豆などもよく使います。
今回は生のトマトを使いましたが、トマトペーストだけを使うことも多いです。シリアだとその傾向が強いように思います。基本的な手順は同じで、トマトの代わりにトマトペーストを増やすだけ。炒めずに、お湯に溶かす人もいます。
今回は肉の茹で汁を約600cc加えました。
豆の茹で汁は基本的には捨てる人が多いですが、結構おいしいですよね。なので、豆の茹で汁も一緒に加えてもいいかなと思います。
アラブ料理なのにスパイスは?と思った方。この料理はそんなにスパイススパイスしていないことが多いです。好みでクミン、ドライコリアンダーシード、ミックススパイスなどを、こしょうを入れるタイミングで加えてみてください。
この料理に限ったことではないのですが…。アラブ料理の味って、結構マギー(固形スープ)だな、と思います。
そんなの使わないわって言う人もいると思いますが、少なくとも、私が今まで、そして今でもお世話になっているアラブ人女性は、マギーを普通に使っています。いや、結構使います。日本人なら、そこ1個でいいんじゃない、というところで2,3個使ったりします。お店でも、まぁ、使っていると思います。
そういうわけで、このレシピに固形スープを加えても、もちろんOKです。
私は家ではマギーは極力使わないようにしていますが(でもマクドナルドに行ったり、冷凍食品を買ったりしますが汗)、マギーを使うと確実に、しかも野菜だけでもおいしくなるのです。チキンも含めて肉は結構高いし、そんな中、手軽な調味料の一員なのです。
いや、化学調味料は悪!みたいな批判というわけでは全然なくて、エジプトで食べた味を手軽に再現するなら、マギーをお土産にどうですかー?ということです。自分は使わないのにアレですが。
チキン、ビーフ、ベジタブルの3種類だったと思うので、取り立て変わった種類があるというわけではないですが、きっと日本の固形スープと味が微妙に違うだろうし。アラビア語が書いてあって、小さいサイズで結構かわいいのですよ。小さすぎて説明の文字が読めんわー!って位小さいです。
話しがそれましたが、豆のトマト煮込みにはご飯が合いますよ。
極細パスタを油で色づくまで炒めて、米、水、塩を加え普通に炊きます。
作り方はこちら
たっぷりのサラダ、特にぴりっと辛いラディッシュが相性抜群です。